ファクタリング審査におけるポイント

ファクタリング会社のスタッフイメージ

金融機関は「金利・手数料」によって利益を得ているため、仮に貸付先が破綻してしまうと金利はおろか元本までも回収できなくなってしまいます。
そのため、利用時には必ず財務状況・信用情報が審査され、仮に債務不履行のリスクが高いと判断されると融資を受けられません。

ファクタリングも同様に審査や調査がありますが、銀行融資や消費者金融のキャッシングとは内容・項目が大きく異なります。
当ページでは、どのような点が審査されるのか・対策は必要か・事前に用意すべき書類はあるか・融資との違い等にフォーカスを当て、分かりやすく解説いたします。

審査項目の代表例

書類をチェックするファクタリング会社スタッフ

ファクタリングで審査される項目として、

・債権の性質及びその存在
・売掛先(取引先)との取引期間
・利用企業及び売掛先の財務状況

などが挙げられます。
具体的な審査内容や確認書類について確認していきましょう。

債権の性質とその存在

繰り返しお伝えしてきた通り、ファクタリングは債権を売買する金融取引です。
そのため、どのような債権を有しているのか・そもそも本当に存在しているのか等については、最も重要な審査項目と言っても過言ではありません。
なぜならば、万が一存在しない債権を買い取ってしまった場合、ファクタリング会社側は大きな損害を被ってしまうためです。

具体的には、取引先との間で交わした契約書、取引先から交付された注文書・発注書、伝票などを審査します。
また、この際に「どのような取引によって発生した債権なのか」についても確認されます。

売掛先(取引先)との取引期間

「なぜ取引期間が重要なの?」と疑問に思う方も多いかもしれませんが、こちらもファクタリング会社にとっては非常に大切な確認事項です。
債務不履行や履行不能などによって買い取った債権が万が一支払われなかった場合、前項と同様にファクタリング会社は大きな損害を被ることになります。

債務不履行リスクが軽減するため、取引期間は長ければ長いほど良いでしょう。
逆に、今までにほとんど取引が無い会社に対してする債権、一度きりの取引で発生した債権等については評価が低くなってしまいます。

利用企業及び売掛先の財務状況

利用企業と売掛先の財務状況も必ずチェックされます。
2社間ファクタリングの場合、利用企業に対して売掛金が支払われ、当該金銭をファクタリング会社にそのまま引き渡すという流れです。

そのため、財務状況が芳しくない場合は「持ち逃げ」「差し押さえ」といったリスクが高まり、残念ながら利用企業にとってはネガティブな要素となってしまいます。
さらに、仮に税金滞納があった場合は、入金と同時に口座が当局によって差し押さえられてしまう可能性があり、ファクタリング会社側も慎重にならざるを得ません。
また、取引先に対して売掛金が支払われない・倒産・税金や保険料滞納による差押え等の恐れがあるため、取引先も同様に財務状況を審査する必要があります。

個人事業主への売掛金はNGの場合が多い

基本的には、売掛先(取引先)の企業規模が大きい又は財務状況が安定している企業であった方が評価は高くなります。
倒産や債務不履行のリスクが低いのはもちろんですが、大企業の場合は決算報告書を自社のホームページで公開していたり、信用調査会社(帝国データバンク等)で閲覧できたりしますので、財務状況が判断しやすいのです。

なお、ファクタリングは個人事業主であっても利用が可能ですが、その債権が「個人事業主に対して有するもの」である場合は原則ファクタリングが不可となります。(利用者が法人であっても個人であっても同様)
個人事業主は、法人とは異なり決算公告の義務がなく、判断材料・資料を得ることが難しいためです。

国・地方公共団体への売掛金は高評価

大企業と並び「国・地方公共団体(都道府県や市区町村など)又はそれに準ずる公的機関に対して有する債権」も高い評価を得やすいです。
評価が高い理由は、破綻する可能性がほぼゼロだからという点に他なりません。

もちろん破綻の可能性が無い訳ではありませんが、平成以降に債務不履行があった地方公共団体の数を考えると、入金される可能性は限りなく100%に近い数字と言えます。
なお、準ずる公的機関とは、例えば「診療報酬の審査支払機関」などです。

健康保険は「市区町村や都道府県」「協会けんぽ」などが保険者に当たりますが、診療報酬の支払いは専門の審査支払機関が担っておりますので、医療機関や介護施設は当該団体に対して債権を保有しているということになります。

審査内容で選ぶ際のポイント

相談に親身に対応するファクタリング会社スタッフ

様々な点が審査されるファクタリングですが、自社の財務状況が悪くても取引を断られる可能性は低いという点で銀行融資と大きく異なります。
しかしながら、財務が芳しくない場合はファクタリングの手数料が高くなってしまう可能性がありますので、やはり利用する上でファクタリング会社選びは重要なウエイトを占めています。
「審査内容」によってファクタリング会社を選びたいという方は以下の点に着目してみると良いでしょう。

審査の柔軟性

銀行や消費者金融では独自の審査基準を設けており、一定の水準に達していないと問答無用で断られてしまいます。
一方で、ファクタリング会社の多くは一定の審査基準は設けてはいるものの、個別の状況や事情を鑑みた上で最終的な決定を下すというケースが多いです。

例として「税金滞納は原則お断りしているが納付の目途が付いているのでOK」「原則3か月以内に支払予定の売掛金が対象だが、特別に4か月後に入金予定の売掛金を買い取った」などが挙げられます。
“A社はダメだったがB社は通った”といったパターンも十分に考えられますので、仮に審査に落ちてしまったとしても決して諦めてはいけません。
柔軟に審査を行っているファクタリング会社に改めて申し込んでみましょう。

運営方針による審査差異

結論から申し上げますと「厳しい」「緩い」などの差異は存在します。
しかしながら、どのような方針を執っているのか・取り扱っている債権(医療債権が専門など)・ファクタリング金額等によっても審査項目や基準は大きく異なります。
そのため、審査に差(厳しい・緩いなど)があるというよりも、ファクタリング会社の専門性や運営方針に大きく左右されると言った方が正しいでしょう。

例えば、ファクタリング会社側のリスクが大きい2社間方式であればより審査は厳しくなりますし、リスクが低い債権(診療報酬や介護報酬など)を専門に取り扱っているのであれば必然的に審査は緩くなります。
審査が緩い・厳しいという面だけではなく、そのファクタリング会社にはどのような実績があるのか又はどのような企業が利用しているのか等についても注目してみましょう。

審査が緩くても手数料が高い可能性あり

金利とは異なり、ファクタリング手数料は明確な基準が法律で定められておらず、中には法外な手数料を提示する悪徳業者も存在します。
しかしながら、ファクタリング手数料が高いからといって必ずしも悪徳業者というわけではありません。
審査で信用度が低い債権と判断された場合、リスクヘッジの観点から手数料を高く設定せざるを得ないというケースも往々にしてあるためです。

そこで、もしも手数料が高いと感じた際は他業者の審査も受けてみましょう。
手数料にさほど違いが見られなければ、その提示額は適正ということになります。
また、審査が緩い代わりに手数料を高めに設定しているファクタリング会社も存在するため、どうしても審査を通したいのであれば当該運営方針を執る業者を検討してみても良いでしょう。